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クレージーの怪盗ジバコ① 東京編(前編)

1967年 東宝・渡辺プロダクション 監督:坪島孝 製作:渡邊晋 シネスコ カラー 110分
​出演:植木等、ハナ肇、谷啓、犬塚弘、桜井センリ、安田伸、石橋エータロー、東野英治郎、青島幸男、進藤英太郎、浜美枝、人見明、豊浦美子、藤田まこと、立川談志、小松政夫、木の実ナナ、青山ミチ、桐野洋雄、加藤春哉、左卜全、アンドリュー・ヒューズ、ロベルト・バルボン、ハンス・ホルネフ、柳谷寛、佐田豊、大前亘、名古屋章
オープニングシーンは、外国っぽいところで少年が「怪盗ジバコ現る!」の新聞を売っている。
​ 少年が新聞を売っていた場所 : 赤坂迎賓館前(東京都新宿区四谷1)
登場人物も外人ばかりなので、バッキンガム宮殿前と思ったが、荻窪東宝さんが「赤坂の迎賓館前ですよ」と教えてくれた。よく見ると奥を走る車が全て国産っぽかった(笑) それにしても外国っぽい小道具揃えて、上手く撮ったもんですわ。
・JR、東京メトロ四谷駅下車 徒歩7
ジバコの入国を水際で阻止しようと、警視庁怪盗ジバコ特別捜査本部の明智警部(ハナ肇)と鈴木刑事(谷啓)他数名は羽田空港でジバコの到着を待っていた。後ろのその他大勢は、WCWC(世界観光開発調査団)出迎えの一行だ。
​ ジバコが降りた飛行場 : 旧羽田空港(東京都大田区羽田空港)
ノー天気なジバコ登場!あっ失礼。まだこいつがジバコかどうか特定されてなかったわ。
・東京モノレール、京急空港線天空橋駅下車 徒歩5~6分だが、絶対に入れない!
さて明智警部たちは一体どこでジバコを待っていたのだろう?当サイトでは、初めて羽田空港に軽くメスを入れてみることにした。
ご存知の通り旧羽田空港ターミナルビルは、80年代前半から沖合埋め立て移転により、90年代前半には跡形もなく取り壊されてしまった。よって手掛かりは当時の航空写真と住宅地図ぐらいしかない。
上の画像左、ポールの上に「23」とある。これはエプロン内の23番スポット(駐機場)の意味だ。ちょっとわかり難いが、出迎え人の間に白い手摺りが確認できる。この手摺りよく見ると直線ではなく、23番ポールの下で直角に折れている。となるとこの場所は角っこということになる。
余談だが、当時の東宝娯楽作品では1964年の海外旅行自由化の影響だろうか、海外ロケが多くなった為、羽田での送迎シーンが数多く登場する。特に若大将、クレージー、社長シリーズは多い。その中でザッと見たところ、アルプスの若大将とレッツゴー!若大将でこの23番スポットが登場している。
さて本題、23番スポットの場所は以下と思われる。
左は1969年度版住宅地図巻末記載の羽田空港図になる。これによると、第2フィンガーの右下に20番口、第3フィンガーの右下に25番口とある。これがスポット番号になるので、23番スポットは第3フィンガーの先端辺りではと推測した。
左の画像は同年公開の『レッツゴー!若大将』のラスト、香港へ帰るメイファンを雄一と澄ちゃんが羽田で見送るシーンだ。
画像中央の23番ポール下は、手摺りが直角に折れているのがわかる。2つ上のジバコ出迎え画像の場所と同じだ。また画像奥に建物らしきものが見えない事から、奥は滑走路と思われる。
上と同様に『レッツゴー!若大将』の画像だ。雄一の左後ろに管制塔が見える。この角度で見えるという事は、2つ上の地図、第3フィンガー矢印先端が接している角より右下の角から左下への手摺り辺りで雄一と澄ちゃんは見送っていた事になる。
最後に作品公開1年前の1966年版空撮にこれまでの情報を落とし込んでみるとこんな感じになる。
雄一と澄ちゃんがいる手摺に対して垂直にカメラを向けると、管制塔ではなく第2フィンガー方向になってしまうが、管制塔が写っているという事は、少し右方向ふって撮影したと思われる。
次は怪しそうで怪しくない男(植木等)が逮捕されるシーンだ。
ここは空港内の通路のような所。モノレール乗り場の案内板がある。到着ロビーでけん銃を落とした怪しそうで怪しくない男を、「コラまて~」と鈴木刑事が追ってくる。
階段を下りる怪しそうで怪しくない男を呼びとめた鈴木刑事。
奥にビル①が見える。その手前、階段とビル①との間の地面だが、アスファルトではなく土のようだ。水溜りのようなものも見える。また、中央トラックの下のアスファルトと土との境目が、植木さんの後ろの手摺と平行でない点、これらは後ほど説明するので覚えておいていただきたい。
怪しそうで怪しくない男に詰め寄られる鈴木刑事。
奥に管制塔②国際線ターミナル③が見えることから、この場所は国際線ターミナルに向かって左側という事になる。
怪しそうで怪しくない男におもちゃの拳銃で撃たれる鈴木刑事。
奥にビル④三愛石油のビル⑤が見える。中央の緑地⑥の地下がモノレール駅になる。
「吾輩がジバコだ」と黄金の名刺を出す怪しそうで怪しくない男。
やっぱりこいつがジバコだったのか!ようやくわかった(笑)
とうとう逮捕されてしまったジバコ。
右奥に穴森稲荷神社の大鳥居⑦が見える。
ではこれまでの情報を1966年版空撮に落とし込んでみると、こんな感じになる。
ジバコが逮捕されたのは、国内線到着ビルの南側に付随していた通路の東端になる。ジバコが途中まで降りた階段があるため、少し南に出っ張っているが、おわかりだろうか?
階段下に青いラインで囲まれたビルがある。当初ここが①ビルと考えていたが、撮影当時、このビルは取り壊されていたと思われる。その根拠として、ジバコが階段途中で鈴木刑事に呼び止められる画像で
・階段から①ビルまで間にかなりのスペースがある。
・アスファルトではなく土である。
・国内線到着ビルと平行ではないので、前述階段手摺りのラインとアスファルトと土の部分の境界線が平行ではない。
該当画像へ>>>
 
以上の位置関係等々によりジバコが逮捕された場所を特定した。
さて、この青いラインのビルだが、公開1年前の1966年と公開4年後の1971年の空撮を比べてみた。5年という間隔はあるが、ビルが建て替えられている事がわかる。
最後は姫野ナナ(浜美枝)と絡んだ駐車場のシーンだ。
鈴木刑事に上手く化けたおかげで釈放されたジバコは、都内への足を探しに駐車場へ出てきた。そこには、到着ロビーでのWCWC歓迎セレモニーでキスした姫野ナナがいた。
奥に①国内線到着ビル②ジバコが逮捕された場所、後で出てくる※黒い車が見える。ここからだと、逮捕された場所が国内線到着ビルに付属して出っ張っているのがわかる。
「明日東京タワーで逢おうよ」と言うジバコに「カッペね~」と棄てゼリフを吐いてナナは去って行った。
右に穴森神社の大鳥居③、左に④管制塔が見える。
ジバコは仕方なく隣の黒い車に乗り込んだ。
左奥、大鳥居の前ではこの車の持ち主、⑤中塚社長(犬塚弘)がびっくりしている。中塚は東西観光の社長でWCWCの日本での接待役のようなものだ。
ではこれまでの情報を1966年版空撮に落とし込んでみると、こんな感じだ。
ナナと中塚の車が並んで駐車していたのは、こちらの画像、※黒い車からわかる>>>
車のサイズを少しオーバーに表示したが、大体この辺りで問題ないと思う。
これが最後、ここまでの3ヶ所を1966年と2006年の空撮で比べてみた。予想通りなにも残ってない・・・・・
羽田で車を失敬したジバコは、橋の上で下校中の小学生たちと話した。
場所は川崎市川崎区の千鳥運河に架かる千鳥橋だ。道路は国道132号線になる。
ページ公開時には不明だったが、公開2日後に荻窪東宝様の弟子のNHさんから教えていただいた。当初「品川~大井辺りの工業地帯と思われる」と書いたが、煙突上部の形状から、石油製造工場(二次製品)と判断されたようだ。
​ ジバコが下校中の子供たちと話した場所 : 千鳥橋(川崎市川崎区千鳥運河に架かる)
・京急大師線小島新田駅下車 徒歩25
工場の建物も経年のうちに建て替えられたようだが、画像左のこの3本の煙突、角度も上手い具合に残っているのには正直笑ってしまった。
反対岸の方だが、なにやらごちゃごちゃ多数のパイプが見える。スペースが足りないのか、歩道にまでせり出してきているのは危ない!が、危機管理にうるさい現在もせり出していたのは、ロケ地確認の過程でとてもありがたかった。
今回ご連絡いただいたNHさん。私と同じく荻窪東宝さんの弟子になるが、未だ道場で顔を合わせた事が無い。どちらが兄弟子になるのかもわからない。弟子と言っておられたので伯父貴ではない事は確かだ。まぁどうでもいい話でしたね(笑)
鈴木刑事に化けたジバコが、鈴木の部屋へ鈴木の給与袋を届けに行くシーンだ。このシーンについては「荻窪東宝」様が詳しく公開されているので、そちらをご覧いただきたい。
​ 鈴木刑事の住む静美マンション : 旧東急東横線ガード下(東京都渋谷区恵比寿西2-5)
・東急東横線代官山駅下車 徒歩7
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